学校に行けない状態が続き、家で過ごす時間が長くなった子ども。
本人の様子を見ながら、「家事をお願いしても大丈夫なのかな」と迷うこともありますよね。
不登校の背景には、人間関係の悩み、心身の疲れ、学校生活への不安など、さまざまな事情があります。
外からは元気そうに見えても、本人の中では大きな負担を抱えていることもあります。
だからこそ、無理をさせたくはない。
一方で、少し元気が戻ってきたなら、家庭の中でできることを一緒に探したほうがよいのでは、と考える保護者もいるでしょう。
結論からいうと、不登校やひきこもり状態にある子どもに家事を頼むこと自体が問題なのではありません。
大切なのは、登校できていないことの埋め合わせとして求めるのではなく、本人の状態に合わせて「できそうな役割」を一緒に選ぶことです。
家事は、不登校を解決する方法でも、学校へ戻るための訓練でもありません。
それでも、「自分にもできた」「家族の役に立てた」と感じられる小さな機会になることはあります。
この記事では、子どもの負担を増やさずに家事をお願いする方法と、家族で無理なく続ける仕組みを解説します。
不登校とひきこもりは同じ状態ではない
不登校とひきこもりは、重なる場合もありますが、同じ意味ではありません。
厚生労働省では、ひきこもりを、就学や就労、家庭外での交流などの社会参加を避け、原則6か月以上おおむね家庭にとどまっている状態としています。
一方、不登校は学校を長期間休んでいる状態を表す言葉で、家族以外との交流や外出がある子どももいます。
そのため、「不登校なら家事をさせるべき」と一律には決められません。
疲れ切って休養が必要な時期と、少しずつ活動する余力が出てきた時期では、適した関わり方が異なります。
文部科学省も、不登校支援は登校という結果だけを目標にせず、本人の状況に応じて社会的自立を支えることが必要だとしています。
不登校の時期が、休養や自分を見つめ直す時間になる場合もあると示しています。
※出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
不登校・ひきこもりの子どもに家事を頼む5つのコツ
1.登校できていないことの「埋め合わせ」にしない
家事を、学校へ行けていないことへの罰や交換条件にしないことが大切です。
「学校へ行かないなら家事くらいやって」という言葉は、子どもに「休むことを認めてもらえていない」と感じさせる可能性があります。
家事を頼むなら、「家族として少し助けてもらえるとうれしい」と伝えましょう。
目的は働かせることではなく、家庭の中に無理のない出番をつくることです。
厚生労働省も、安心して過ごせる場所と、自分の役割を感じられる機会は、生きていくための基盤になると説明しています。

※出典:厚生労働省「ひきこもりVOICE STATION」
https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/information/
2.本人が選べるようにする
親が家事を決めて命令するのではなく、できそうなものを本人に選んでもらいます。
「食器を運ぶのと、洗濯物を取り込むのなら、どちらができそう?」
このくらいの聞き方で十分です。
どちらも難しいと言われた日は、無理に決める必要はありません。
断れる余地があるからこそ、本人が自分で引き受けた役割になります。

3.5分ほどで終わる家事から始める
最初から毎日の料理や部屋全体の掃除を任せると、失敗したときの負担が大きくなります。
まずは、次のような短時間で終わる家事がおすすめです。

- 自分の食器をキッチンへ運ぶ
- タオルを数枚たたむ
- ペットの水を替える
- ご飯をよそう
- ごみ袋を玄関へ運ぶ
調子が安定してきたら、週に一度のごみ出しや、簡単な料理などへ広げていきます。
できなかった日があっても、翌日に持ち越したり、家族が代わったりできる役割を選びましょう。
4.上手さより「助かった」を伝える
家事が終わったら、出来栄えを評価するよりも、助かった事実を伝えてください。
「まだ汚れが残っている」ではなく、「洗ってくれて助かった」
「たたみ方が違う」ではなく、「ここまでやってくれたから早く終わった」
家事をしても細かく直されると、「自分がやらないほうがよかった」と感じてしまいます。
最初は家庭の基準を満たすことより、役割を最後までできた経験を優先しましょう。

米国の子ども9,971人を追跡した研究では、幼少期に家事をしていたことと、その後の自己評価や向社会的行動などに関連が見られました。
ただし、これは一般の子どもを対象とした観察研究であり、家事によって不登校やひきこもりが改善すると証明したものではありません。
※出典:White, DeBoer & Scharf「Associations Between Household Chores and Childhood Self-Competency」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30507727/
5.できなかった日を責めない
家事を始めても、毎日同じようにできるとは限りません。

昨日はできても、今日は起き上がれない。
一度引き受けたのに、途中でつらくなる。
不登校やひきこもりの状態には波があります。
できなかったときにポイントを減らす、家族と比較する、理由を問い詰めると、家事が新しいプレッシャーになります。
「今日は難しそうだから代わるね」と伝え、落ち着いた日にまた相談しましょう。
家事を頼まないほうがよいとき
食事や睡眠が大きく乱れている、会話するだけでもひどく疲れる、自分を強く責めている時期は、決まった家事を持たせるより休養を優先します。
自傷行為がある、「消えたい」「死にたい」と話すなどのサインがある場合は、家族だけで解決しようとせず、学校や地域の相談窓口、医療機関などへ相談してください。

厚生労働省も、不登校やひきこもりの背景にこころの病気が隠れている場合があるとして、専門家や相談機関との連携を案内しています。
※出典:厚生労働省「子どものSOSサイン」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/sos/
家庭の小さな役割をCAJICOで見える化する
家事を頼んでも、毎回親が「今日はできる?」「もう終わった?」と確認すると、お互いに疲れてしまいます。
そこで使えるのが、家事分担アプリ「CAJICO(カジコ)」です。
CAJICOでは、子どもと相談して決めた家事を予定として登録できます。
終わった家事は記録され、家族にも通知されるため、何度も確認する必要がありません。
完了した家事には、スタンプやコメントで「ありがとう」を伝えられます。
家事にポイントを設定し、貯まったポイントをごほうびにつなげることもできます。
ただし、不登校やひきこもり状態の子どもに使う場合は、管理や監視の道具にしないことが大切です。
- 子ども本人が家事を選ぶ
- 最初は1〜3個だけ登録する
- できなくてもポイントを減らさない
- 登校や外出をポイントの条件にしない
- 親の家事も一緒に登録する
家族全員の家事を載せれば、子どもだけに働かせる表ではなく、「みんなで生活を回していること」が見える場所になります。
まずは「タオルをたたむ」「ペットの水を替える」など、本人が負担に感じにくい家事を一つ登録してみてください。
できたことが家族に伝わり、感謝が返ってくる小さな循環をつくれます。

よくある質問|不登校・ひきこもりと家事
家事をまったくやりたがらないときは?
無理にやらせる必要はありません。
今は休むことに多くのエネルギーを使っている可能性があります。
まずは本人の食器を運ぶなど、自分の身の回りのことから提案し、難しければいったん引き下がりましょう。
家事をしたらお小遣いを渡してもいい?
家庭ごとの考え方で構いません。
毎日の基本的な役割と、追加で行う家事を分け、追加分だけお小遣いやポイントの対象にする方法もあります。
ただし、お金を稼がなければ家で過ごせないようなルールにはしないでください。
親だけで相談してもいい?
本人が相談を嫌がる場合は、まず保護者だけで相談しても構いません。
教育センター、スクールカウンセラー、児童相談所、精神保健福祉センターなどでは、不登校やひきこもりに関する家族からの相談も受け付けています。
※出典:厚生労働省「困ったときの相談先」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/consultation/
まとめ|家事は子どもを動かす手段ではなく、家族とつながる小さな役割
不登校やひきこもり状態の子どもに、家事を無理やりさせる必要はありません。
一方で、本人に少し余力があり、自分で選べるなら、家庭の中に小さな役割を持つことはできます。
大切なのは、学校へ行かない罰にしないこと。
短時間で終わる家事から始め、できたら出来栄えではなく「助かった」と伝えることです。
CAJICOなら、子どもだけでなく家族全員の役割を見える化し、できた家事へ感謝を届けられます。
まずは本人と相談しながら、一つだけ「無理なくできそうな家事」を登録してみてはいかがでしょうか。




