夫は1時間54分、妻は7時間28分。6歳未満の子どもがいる世帯の、1日の家事関連時間の差です。育休中はこの開きがさらに広がりやすく、妻が家事も育児も抱え込む家庭は珍しくありません。
育休中の家事分担が続かない最大の原因は、家事の全体量が見えないまま役割が固定され、夫婦で話し合えないことにあります。 ゴミ袋の交換や保育園の持ち物準備といった名もなき家事は、担っている側にしか見えず、負担として共有されません。放置すれば、夫婦の笑顔は静かに失われていきます。
この記事では、名もなき家事の洗い出しから復帰後の見直しまで、公的データをもとに整理しました。
※出典:総務省統計局「統計Today No.190」
https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf
育休中に家事・育児が妻に偏る理由
育休中は在宅時間の長い側にタスクが集まりやすく、家事・育児の多くを妻が担う家庭が少なくありませんが、その理由は時間の差だけではありません。
育休中に家事・育児の実態

共働き夫婦への調査では、家事の6割以上を妻が担っていると答えた女性が80%を占めました。分担割合の最多は「妻7割・夫3割」で18.4%。育休中はここへさらに24時間の育児が乗ってきます。
しかも妻の不満で最も多いのは、家事を「手伝うもの」と捉える夫の姿勢そのもので、43%にのぼりました。育休中の家事分担を偏らせているのは在宅時間の差だけではありません。家事を自分の役割と捉えていない「意識」です。
※出典:リンナイ株式会社「家事分担に関する意識調査」
https://www.rinnai.co.jp/releases/2024/0830/index_2.html
妻の愛情は2年で半減するー「産後クライシス」の正体

妊娠期に74.3%だった妻の「配偶者を本当に愛している」という実感は、子どもが2歳になる頃、34.0%まで落ち込みました。2年あまりで「半分以下」に沈むのです。
一方で、同じ時期の夫は51.7%。妻に比べれば減り方は緩やかです。妻の心が離れかけていることに気づいてすらいません。これが「産後クライシス」と呼ばれる危機です。家事・育児の偏りを放置することは、夫婦の土台を静かに削り続ける行為にほかなりません。
ただし救いも同じ調査にあり、夫が家事・育児をねぎらってくれると感じている妻ほど、愛情の低下は起きにくいと示されていました。
※出典:ベネッセ教育総合研究所「『産後クライシス(危機)』で夫婦に何がおこる?!」
https://benesse.jp/berd/jisedai/topics/index_4398.html
育休中の家事・育児を夫婦で分担する進め方
分担を見直すときは、いきなり割合を決めるのではなく、目に見える家事だけでは埋まらない負担感まで含めて、家事の全体像を洗い出すところから始めます。
まず家事・育児をすべて書き出す(名もなき家事)
分担の第一歩は、目に見えにくい「名もなき家事」まで含めてすべて書き出すことです。ゴミ袋の交換や調味料の補充、保育園の持ち物準備など、こまごました作業は担当している側しか把握できず、負担として認識されにくいという特徴があります。内閣府も、家族にとって重要だと思う家事を10個ほど書き出し、分担度合いを目盛りで確認する取り組みを推奨しています。
▼名もなき家事の例
- ゴミをまとめて袋を替える
- トイレットペーパーや洗剤を補充する
- 子どもの爪を切る・体温を記録する
- 保育園の連絡帳を書く・持ち物をそろえる
※出典:内閣府男女共同参画局「夫婦が本音で話せる魔法のシート『○○家作戦会議』」
https://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/index.html
書き出した家事を夫婦で割り振る手順
割り振りで迷いやすいのが、得意・不得意を基準に決めてしまうパターンです。得意な人へ寄せると、結局これまでと同じ担当へ家事が集まってしまいます。手が空く時間を基準に分けたうえで、「洗濯を干して」と頼むのではなく洗濯まわりごと任せると、相手の当事者意識も育ちやすくなるでしょう。一度で完璧に決めようとせず、1週間試して合わなければ変える前提にしておくと気が楽です。
▼分担を割り振る手順

無理のない分担割合の決め方
分担割合に決まった正解はなく、いきなり半々を目指すより、今の状態から少しだけ動かすほうが長続きします。 奈良市が公開している家事シェアのシートでも、家事を「毎日」と「不定期」に分けて誰がどれだけ担っているかを書き込み、「今よりちょっと先プラス」を目指す形になっていました。同じシートには、育休中の妻がいる家庭や夫が育休を取っている家庭など、3つの家族のシェア例が載っています。
▼奈良市のシートに載っている3家族のシェア例
家族の状況 | シェアの工夫 |
育休中の妻・フルタイムの夫・子ども3人 | 子どもにも家事の役割を渡し、家族全員でシェアする |
フルタイムの夫婦・子ども2人 | 家事代行や定期便サービスを取り入れて家事の総量を減らす |
フルタイムの妻・育休中の夫・子ども1人 | 乾燥機やお掃除ロボットに任せ、残りを夫婦で分ける |
※出典:奈良市「どうする?「我が家の家事・育児」シート」
https://www.city.nara.lg.jp/site/kosodate/187598.html
夫婦で分担を続ける仕組みづくり
決めた分担が1か月ももたずに崩れていくなら、変えるべきは夫のやる気ではなく、日々の頼み方と感謝の伝え方かもしれません。
夫に伝わる家事の頼み方・任せ方

「言わないと気づかないの?」——その一言を飲み込むたび、不満は静かに積み上がります。内閣府も「わざわざ言わないとやってくれない」を、家事シェアの代表的なストレスに挙げていました。裏を返せば、言われる前に動くだけで信頼は大きく上がります。頼むときは、手順まで口を出さないでください。締め切りと仕上がりだけを伝え、あとは任せてみましょう。 内閣府が挙げる工夫も具体的で、料理と食卓の準備を2人で同時に片づける「パラレル家事」や、「子どもと遊びに行くね」と子どもごと引き受ける一言が並んでいました。
※出典:内閣府男女共同参画局「夫婦が本音で話せる魔法のシート「○○家作戦会議」」
https://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/index.html
見える化と感謝で不公平感をなくす

感謝は、伝えなければ存在しないのと同じです。ところが家事シェアについて「夫婦で話し合っている」家庭は47%にとどまりました。半数以上の夫婦は、誰が何をどれだけ担ったかを共有すらできていません。不満は、その見えない領域で少しずつ膨らみます。共働き夫婦の59%がパートナーの家事に不満を抱え、女性に限れば72%に達しました。原因は家事の量ではありません。やったことが見えず、ねぎらわれないことです。
頭の中の「やったつもり」と「やってもらったつもり」は、ぶつかるまで気づけません。ノートに書き出す方法は続ける手間がかかり、口で伝えるだけの感謝は積み重なった実感が残りません。家事分担アプリのCAJICO(カジコ)は、行った家事がポイントとして貯まり、誰がどの家事をどれだけ担ったかを夫婦で共有できます。 家事を終えると家族へお知らせが届くので、これまで気づかれなかった名もなき家事も、埋もれたままにはなりません。貯まったポイントはごほうびと交換できるため、ねぎらいを形にしながら分担を続けたい家庭に向いています。
※出典:リンナイ株式会社「家事分担に関する意識調査」
https://www.rinnai.co.jp/releases/2024/0830/index_2.html

育休明け・復帰後も分担を続けるコツ
育休が明けて仕事が再開すると使える時間が減るため、育休中と同じ配分のままでは、いずれ分担が回らなくなりがちです。
復帰前に分担を見直しておく
職場復帰の前に、働き方の変化を見込んで分担を組み直しておくと、慌てずにすみます。復帰後は通勤や勤務で使える時間が減るため、育休中と同じ配分では回らなくなりがちです。「朝の準備は夫、夜の寝かしつけは妻」のように、勤務時間に合わせて担当を割り振り直しておきましょう。復帰から数週間は試運転と考え、不都合があればすぐ調整する前提で決めておくと安心です。
時短家事や外部サービスも取り入れる
夫婦2人だけで抱え込まず、時短家電や外部の手を借りると負担を減らせます。復帰後は時間の余裕がなくなるため、家事そのものを減らす発想が役立ちます。負担の大きい家事から、機械やサービスに任せられないか検討してみてください。
▼負担を減らす手段の例
- 食洗機や乾燥機で洗い物・洗濯の手間を減らす
- 作り置きや宅配食材で調理の回数を減らす
- 家事代行や自治体の子育て支援を必要な時だけ使う
完璧を求めず柔軟に調整する

予定どおりに進む週など、めったにありません。子どもが熱を出せば、その日の計画は消えます。できなかったことを責め合えば、分担そのものが続きません。もっと危ないのが、よその家庭と比べる瞬間ではないでしょうか。内閣府も、他所を引き合いに出すことは夫婦の大きな亀裂を生むと注意を促しています。完璧は目指さなくていいのです。自分たちのペースで、そのつど調整していきましょう。
よくある質問|育休中の家事・育児分担
育休中の分担に関して、よく寄せられる疑問に答えます。
育休中の生活費はどう分担すればいい?
「育児休業給付金は原則、休業前賃金の67%(181日目以降は50%)です。ただし2025年4月からは、夫婦ともに14日以上取得するなどの要件を満たせば最大28日間は80%に引き上げられ、実質手取り10割相当になります。まずは自分たちがどの水準になるかを確認したうえで、収入が下がる側の負担を軽くするのが現実的です。
出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001599643.pdf
夫婦で同時に育休を取ると分担は楽になる?
育児のピークを2人で越えられるため、負担は軽くなりやすい選択肢です。ただし、家に2人そろっているだけでは分担になりません。役割を決めずに過ごせば、結局どちらかへ偏ります。同時取得だからこそ、家事・育児を書き出して担当を分けておいてください。
家事・育児はどちらが多く負担すべき?
決まった正解はありません。その時点で余力のある側が、多めに担えば十分です。育休中は在宅している側が中心になりがちですが、24時間続く育児を1人に集中させれば、無理が出るのは当然ではないでしょうか。時間帯や曜日で役割を分け、状況が変わるたびに決め直してください。
まとめ|育休中の分担で夫婦の笑顔を守る
育休中の家事分担が続かないのは、家事の全体量が見えず、役割が固定されたまま話し合えないことが主な原因です。名もなき家事まで書き出して見える化し、まとまった単位で任せ、感謝を伝え合うことで、無理なく続けられるようになります。復帰後は働き方に合わせて分担を組み直し、時短家電や外部サービスも取り入れながら、完璧を求めず柔軟に調整していきましょう。
分担が続くかどうかは、見える化と感謝にかかっています。とはいえ、誰が何をどれだけやったかを、頭だけで覚えていられるでしょうか。見えない家事は、評価されません。CAJICO(カジコ)なら、担った家事がポイントで貯まり、誰がどれだけやったかがひと目でわかります。 家事を終えるとお知らせが届くので、名もなき家事も埋もれません。貯まったポイントはごほうびと交換でき、「ありがとう」を形にして返せます。守りたいのは、育休中もその先も続く夫婦の笑顔です。 まずは家事の見える化から始めてみませんか。




